top of page

JiyuGakusya

2010.11.05 - 道場開き
ごあいさつ

「でこぼこ」

 少子化、高齢化が急激に進んで「大変だ、大変だ」とテレビ番組等で騒がれて久しい昨今ですが、いったい何が大変なのでしょうか。日本人の数が減ってゆく、働く人が減ってゆく、学校の生徒が減ってゆく。子どもたちからすれば友達が減ってゆく。何もかもが減ってゆく時代。

 野球にサッカー、受験勉強。子どもも忙しいけれど、親も大変です。よく考えてみるとそれは、××ごっこになってやしないか。ほんとうに子どもがしたいこと、わが子の能力、才能を百パーセント引き出してやっているか、自問自答も尽きません。

 昔から「よく学び、よく遊べ」と、それに加えてたくさん寝て、たくさん食べて「骨太な子」に育ってほしいと、親なら誰でも考えることです。

 それに礼儀作法。あいさつなんてどうでもいい、いや違います。朝起きたら「おはようございます」、ご飯を食べるときは「いただきます」。返事は「はい」です。なかなか言えません。

 おにぎりはなんで三角形なのか。それはきっと四角形には結びづらいからです。しかし、枠型というものがあるから、四角でも五角でも六角でもそれを使えばどんな形にも作ることができます。でも、何かへんですね、何かおかしい。美味しい具は入っていても、愛情やぬくもり、思いが入っていません。

 型で押したような育て方では、いくらよい大学を出ても、きっとどこかで行き詰ってしまいます。子どもは、デコボコでいいのです。どの子も皆キラリと光る何かを必ず持っています。

 自由学舎は、その光を見逃さず大事に大事にしてゆこうと考えています。ここは違う学年の子どもたちが一緒に学ぶ場所です。年上の子が年下の子の面倒を見る。柔道を通じて協力し合い、教え合いながら心と身体を鍛えてゆく。それが私たちの目指すところです。

 たくさんの稽古をして強くなりたい子、基礎的な運動能力を高めたい子、健康で元気になりたい子はどんどん来てください。できるなら親子で柔道を学んでください。しっかり指導いたします。宿題もみます。勉強もしてください。文武両道です。放課後は、自由学舎に来て過ごしてください。

 柔道で向き合う相手は、自分自身でもあります。柔道には試合があります。試合場に上がったとき、頼れるのは自分しかありません。緊張して震えが止まらない、不安で不安で泣き出してしまうことだってあります。

 一対一の試合に勝つには、ふたりに勝たなければならないのです。ひとりは自分自身です。自分を信じるしかありません。そのためには稽古を積んで、自信をつけるしかありません。

 もうひとりは、たたかう相手です。紙一重、技の技術や身体の力はそんなに変わりません。なぜなら皆ものすごい力を持っているからです。気を抜かないこと、集中すること。稽古を通じて、自身の力を爆発させる、集中することを身につけてください。

 東向島で生まれ育ち、子どものころから町道場で柔道を学んだ私は、いつも柔道を自身の原点と思ってきました。ひとりでも多くの子どもたちに柔道を学んでほしい一心で、ほんとうに大勢の皆さまのお力を少しずつお借りして、自由学舎を開くことができました。ありがとうございます。

 ご協力してくださった皆さまに感謝をこめて。

2010年6月 自由学舎 舎長 中里 浩

bottom of page